本当の幸せ (3)
 

”不満な猫と西と辛い過去”

−大十字九郎探偵事務所−
「高卒検定?」
「ああ・・・。エンネア。お前にそれを受けて欲しくてな。」
俺はあの約束からニヶ月後エンネアに夕食後この話を持ちだした。
「ええ〜そんなの時間の無駄だよ〜」
「それはわかっているが、エンネアだからと言って今からジュニアハイスクール(中学校)に行くよりはいいだろう?」
「それはそうだけど〜なんでそんなもの受けなきゃダメなの〜?」
「それはだな・・・今は言えないが俺とエンネアの将来のためだよ。」
アーカム・シティでは金銭的苦しい家庭等には義務教育を免除される制度があり、ライカさんとこのガキンチョ共のそうなのだが、とは言っても実際に義務教育を履修したわけではない。
世界最強の魔術師であったエンネアに取って中卒検定はおろか高卒検定ですら、西風に言えば「朝飯前の夕飯前の昼飯前の朝飯前」ぐらいだろうが俺達の将来のために提案したのだ。
「九郎。ここの所「今は言えない」って言葉良く使うね。何隠してるの〜?」
「来るべき時が来たらちゃんと言うから・・・俺を信じてくれ・・・!」
「エンネアに取っては赤子の手を捻るより簡単だしちゃちゃと片付けますよ。」
「じゃあ、俺が申し込んでおくから2月にミスカトニック大学に来てくれよ。」
「・・・・はーい。」
エンネアは不満そうだったが、俺のが真剣だとわかると渋々だが受け入れた。

−大十字九郎探偵事務所のソファーの上−
そして就寝の時間。
「んー九郎〜♪(ゴロゴロ)」
「―!!」
「えいえい♪」
相変わらず俺とエンネアは場所がないのでソファーの上で一緒に寝ていた。
が、エンネアの身体は少しずつとは言え確実に成長しているし、女の子の甘い匂い。並みの理性ならとっくに崩壊してけだものになっているだろう。
だが、俺にはあの約束のために必死に堪える。
「西が一人〜西が二人〜」とあのキ●ガイの数を数えることでなんとか乗り越えてきた。
だが、エンネアはそれをお見通しなのか身体を擦りつけてくる。
いかん、エンネアのいる時間では男の生理(隠語)ができないのもあり俺の煩悩はかなり大きくなっている。
「ね〜九郎。エンネアは九郎のお願い聞いてあげたから、九郎もエンネアのお願い聞いてくれる?」
「な、なんでしょう?!」
だいたい予想がつくが一応返事をしなければならない。なにせエンネアに無理を行って高卒検定を受けてもらうのだから。
「エンネアを抱いて♪」
「―!!」
や っ ぱ り か。
「そ、それはダメだ。俺とエンネアはまだ籍は入れてないし、何より俺がお前を抱いたら犯罪だ・・・うん。」
「九郎ってば堅いんだから〜そんなの黙ってたらわからないよ〜」
「ダメだ。ダメだ。エンネア頼む!」
俺は理性で必死に本能を抑えつつエンネアに懇願する。
「ぶーじゃあエンネアと熱いキスして♪それで許してあげる♪」
「わ、わかった。」
それで済むのならエンネアと唇を重ねる。
「ちゅ、ちゅく、ちゅる、」
舌を入れてきたのでねっとりとした音が響き渡る。とてもとても甘いキス。
心地良いキスに俺の理性はもはや崖につかまっている状態。
キスが終わった後、それを見越したのかエンネアが仕掛けてきた。
「え、エンネア!ど、どこをさわって!!」
「〜♪」
当然ながらエンネアの性格上キスで終わるはずもなく、俺の股間にエンネアが手を伸ばす。
俺の理性はついに崖から手が離れかけた・・・。あとは堕ちるだけ・・・。とおもった瞬間。

−アーカム・シティ市街−
どごーん!!
「破壊ロボだー!!」
「きゃー!」
西を数えて煩悩を抑えていたからか西が破壊ロボで町を轟音と共に登場した。
普段はいい迷惑だが今回ばかりはいいタイミングなので西に少しだけ感謝。
「エンネア!すまん!行ってくる!」
「ぶーしょうがない。がんばれ九郎〜」
この世界にメタトロンはいない。なのでこの街を守れるのはこの大十字九郎だけだ。
「おのれー!!いつまでもこのアーカム・シティを蹂躙されるのは本官が許さないであります!」
ドンドンドンドン。
治安警察がミサイルを発射するが破壊ロボにはまったく通用しない。
「ぬはははは!そんなパチンコ玉がこの「スーパーウェスト無敵ロボ27号雪は儚く消えるが君との思い出は永遠(以下略)」に通用するわけないのであるー消えるのであるー!!」
「消えるロボー」
ドコドコドコーンと無敵ロボから治安警察のミサイルより遥かに強力な無数のミサイルが発射される。
「ぐあー!!」
吹っ飛ぶ治安警察部隊。そこで俺の登場だ。
「あ、博士。例のかっこいい男がきたロボよ。」
「ようやく来たか。大十字九郎!ここで会ったが100000年目!!今日こそあの日の雪辱をしてくれる!ファイヤー!!」
ドゴドゴドゴーン!!!!
ミサイルの雨が降る。だがアルがいなくても魔術が扱えるレベルになった俺にとってはそれはあまりにも遅い。
そして右手に赤と黒のオートマチックの銃(クトゥグア)、左手に銀のリボルバーの銃(イタクァ)。エンネアにもらった魔銃。
ドンドンドンー!!俺は西の破壊ロボに向かって撃つ。以前ならなんなく破壊ロボを沈めていたものだ。だが・・・
「・・・!」
破壊ロボは立っていた。クトゥグアの轟砲は完全に無力化できてはいないがイタクァの散弾はほぼ無傷だった。
「うわははは!!同じ手が何度もこの大天才!!ドクターウェストに通用すると思ったか!!あれからあの損傷を解析し魔術理論も取り入れそれに耐えうるボディを手に入れたのだ!!観念するのである!!」
「観念するロボー!ダーリン♪」
西とエルザが勝ち誇ったように勝利宣言をかます。
だが、俺は動じない。再び二丁の銃を引く
ドンドンドンー!!
「ふん。これだから学習できない凡才は・・・ってぬおあああああ!!!」
「ロボぉぉ?!!」
ドゴーン!!破壊ロボはバランスを失い無様にその場に倒れた。
「博士どうするロボ?」
「うーむ。動けないならどうしようもないのである・・・。逃げるのである・・」
ドビューン
そう言って破壊ロボの頭部だけが飛んでいった。
ここまでやれば後は治安警察に任せればいいだろう。
ということでゴタゴタに巻き込まれたくない俺は速やかにその場を去った。
破壊ロボを沈めたタネは至極簡単。
クトゥルーの神気を受けたアウグストゥスの「レガシー・オブ・ゴールド」の障壁を貫いた方法と同じである。
威力のあるクトゥグアでまず障壁を破り、破った所から精密機械の精度で目標を射抜くイタクァを潜り込ませ動力部を破壊したというわけだ。
「・・・・」
俺はあることを思いだしそれをごまかすように家路を急いだ。
「九郎おかえり〜もう深夜の3時だけど大丈夫〜?にゃ?!」
「ありがとう。エンネア。お前の顔が何よりも疲れを吹き飛ばしてくれるよ。」
俺は帰るなりエンネアを抱きしめた。アウグストゥスとの戦いの後のエンネアのとの悲しい別れを思いだし、一秒でも早くエンネアを肌で感じたかったからだ。
そしてそれを感じ安心した俺は倒れるように眠りについた。


                     □ □ □ □ □ □ □ □ □ □                   


”お姫様からの依頼”

−大十字九郎探偵事務所−

それから2日後の休日の朝
ピンポーン♪ピンポーン♪
「・・・うーん」
休日の朝は遅くまで寝ていたいが・・・ベルは続く。
ピンポーン♪ピンポーン♪
「九郎。お客さんだよ?」
「悪いがエンネア出てくれるか?」
「はーい。」
ガチャ
「大十字九郎様の探偵事務所はこちらでよろしかったでしょうか?」
「はい。そうですよ〜」
高そうなタキシードに身を包んだスラっとした執事さんが入ってきた。
俺は依頼と直感的に感じると起きて対応にでると案の定あの人が入ってきた。
「仕事の依頼です。」
「姫さん・・・。」
「姫さん・・?」
「あ、いえ気にしないで。でなんの仕事でしょう。」
高そうなドレスに身を包み凛とした表情、そしてモデルのようなスタイル。間違いない。
そして事務所の中のテーブルに案内した。
「ではごゆっくりー」
「ありがとうございます。」
エンネアは紅茶と茶菓子を出し執事さんがお礼を言うと邪魔しちゃ悪いので奥の方へ行った。
「初めまして。大十字さん。この街に住むものなら覇道財閥はご存知ですね?私はその次期総帥の覇道瑠璃です。」
「ああ・・・「もちろん」知っていますとも。大財閥のお嬢様がこんな三流探偵の事務所へ何故依頼を?」
過去の世界の姫さんを知っている俺はもちろん知っている。この世界では両親が健在なので次期総帥と言う立場だ。そして依頼の内容がまた魔導書を探すことかと思いきや・・・。
「ブラックロッヅはご存知ですね?」
「ああ・・もちろん知っているよ。」
マスターテリオンが率いたブラックロッ「ジ」がないこの世界では西の所属しているのはブラックロッ「ヅ」だ。
と言っても西以外はほとんど脅威ではないただの愉快犯の集団と聞いている。
「最近、捕まったその組織の構成員を尋問した所魔術師が組織に加わったようです。」
「魔術師・・・!」
「もうお分かりでしょう。ミスカトニック大学隠秘学科の主席大十字九郎さん。」
魔術師と言う言葉を聞いて俺の顔がこわばる。執事さんが続けた
「破壊ロボが治安警察の処理能力を大きく上回りだしたのはその情報が入ってからのことです。魔術理論を取り入れているのは間違いないでしょう。」
「そして大十字さんはその破壊ロボを何度も倒されており、探偵でいらっしゃいます。依頼するにはこれ以上相応しい方はいませんわ。」
「そっちもいろいろ調べたんですね・・・。で、そのブラックロッヅの殲滅がご依頼で?」
魔術師が関わっているとなると今はさほど脅威ではないと言ってもどうなるかわからない。それは身を持って知っている。
「いえ、大十字さんはその組織にいる魔術師を捕らえていただき、ブラックロッヅの本拠地を突き止めていただきたいのです。いくら魔術師がいるとはいえ、末端の構成員の相手は治安警察の部隊で十分でしょうから。」
「前金としてこちらを。必要経費は請求していただいて結構です。さらに成功の暁には別途報酬をお支払いします。」
「引き受けましょう!!!」
俺は引き受けることを決断したアタッシュケースの大金を見たからじゃないぞ!正義のためだ!そうこの街の平和のためだ!信じれ!
クスッと事務所の奥で笑い声が聞こえた。

−覇道瑠璃専用車内−
瑠璃は大十字九郎探偵事務所を出た後車内でウィンフィールドと話をしていた。
「三流探偵と聞いていたのでもっと散らかった粗末な部屋と考えていましたが、なかなかに立派な事務所でしたわね。ウィンフィールド。大十字さん自身もほわほわしてそうで骨のある方みたいですし。」
「破壊ロボを何度も撃退している情報は耳にしていましたが、直に見て私も納得しました。あの方ならきっとあの依頼を完遂してくださるでしょう。」
ウィンフィールドもやはり予想していた以上の人物だったようで安心したようだった。
「そうですわね。大十字さんは仕事の完成度次第では覇道に引き入れる価値がありそうですわ。」
「それはお嬢様のおっしゃる通り大十字様の働き次第でしょう。」
覇道財閥はミスカトニック大学の隠秘学科とはパイプはあるものの組織内に魔法を専門に扱う部署はない。
その組織を創る上であの大十字九郎がその先導者としての役目を担えるか。瑠璃はそんな気持ちを抱いていた。
「それと―」
「いかがなさいました?お嬢様。」
出迎えてくれた大十字九郎の同居人の少女。惹きこまれるような奥の深い瞳をしていた。あれは歳相応のものではない。
「いいえ、なんでもありませんわ。さ、今日の仕事がありますわ。少し急いでいただけますか。ウィンフィールド。」
「了解しました。お嬢様。」
疑念に思うことはあっても大十字九郎の周辺は全て調べ尽くしている。
―あの少女は孤児で大十字九郎が引き取ったエンネアと言う名である。
―大十字九郎宅の家事全般を担っている。
―大十字九郎とはまるで実兄妹以上に仲が良いと近所でも評判である。
以上のことだけである。
なんとなく抱いた疑問は置いておき瑠璃は忙しい自宅兼職場へ急いだ。


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”エンネアとアーカムシティ”

−アーカム・シティ街中−
とりあえず、善は急げということで俺は元本職の探偵業務を開始した。
今日は休日とはいえ長引くこともあるだろうからアーミティッジの爺さんに一週間ほどは休むかもしれないと連絡しておいた。
理由を尋ねられたが覇道財閥からの依頼であることと、魔術師が絡んでいる可能性があることを告げると了承してくれた。
だが、一つ問題がある。
「エンネア・・・なんでお前も一緒に来るんだ?」
「え〜だって〜九郎と少しでも長く一緒にいたいし〜」
エンネアの体力は身を持って知っているので足手まといになる可能性は低いが・・・やはり少女連れというのは探偵業務には相応しくない。
暫く歩いていると不意打ちを食らった。
「お、エンネアちゃん今日はいつも自慢しているお兄ちゃん連れかい?」
「はい〜「SAKANA」のおじさん。エンネアの自慢の旦那さんです!」
「え??あ、はい大十字です。」
突然の声掛けに戸惑う俺。エンネアの知り合いのようだが・・・。
「このおじちゃんアメリカで数少ない魚屋さんの「SAKANA」の店長さん。いい魚仕入れて安いからエンネアよく買いに行くの。」
「ああ!いつも美味しい魚ありがとうございます。俺の生まれ故郷では魚はよく食べるのでとてもありがたいです。」
「お、兄ちゃんも日本人の血が入っているのかい。おじさんも4分の1は日本人なんでね。これからもご贔屓に頼むよ。」
どうやら日本人の血が入っている人らしい。確かに世界の中心のアーカム・シティとはいえ、魚屋は珍しい。それに新鮮な魚を仕入れるのはアメリカではなかなか難しい。
「おじさん。今エンネアの旦那さんはお仕事中だから、また今度一緒にお店に行かせてもらうね。」
「おお、それは失礼。旦那さんがんばって仕事してかわいいお嫁さんを幸せにしてあげなよ。」
「じゃあ、失礼します。」
そう言って仕事に戻った。

―4時間後
「うーん・・・やっぱりいい情報はないな・・・。」
「焦らない焦らない。」
街中のきな臭いところを探ったり聞き込みをしたがめぼしい情報はなかった。
覇道財閥の情報網でも本拠地は掴めていないのだからこの程度では当たり前か。
「それよりも・・・エンネア。俺が思ってた以上にこの街に打ち解けているんだな。」
「えへへ。もしかすると九郎よりこの街には慣れ親しんでるかもね♪」
エンネアの知り合いの多いことには驚かされた。
さっきの魚屋のおじさん、格安床屋のおばちゃん、修理も受け付けている小さな家具屋の若旦那とその奥様、1ドル均一店を経営する熟年夫婦、パン屋を営む親子、そして・・・。
「まさか・・・Jの家のお祖母ちゃんまで知り合いとはね」
「たまたま、道に迷ってたお祖母ちゃんを警察署まで送ったんだけど。あれはすごい偶然だったね〜孫に似たような友達がいるとは言っていたけど、まさか九郎のこととは思わなかったよ。」
実のところを言うとJのお祖母ちゃんは認知症が始まっており、徘徊することがたまにあることは以前連絡を受けて知っていたが偶然とは恐ろしい。
「「仕事」としてはなんの成果もなかったけど、エンネアを知れたという意味では意義はあったな。同時に恥ずかしかったけどな・・・。」
「えへへー♪」
ペロッと舌を出すエンネア。
と言うのも行く先々で出会うエンネアの知り合いにエンネアは俺のことを「素敵な旦那様」と紹介して自慢しているようなのだ。流石にこれは恥ずかしい。
「ねー九郎。そろそろお昼だよ。持ってきたサンドイッチ食べよ。」
「腹が減っては戦は出来ぬって言うしなそうしよう。」
そうして俺達は昼食を取ることにした。


                     □ □ □ □ □ □ □ □ □ □                   


”暗躍(?)のブラックロッヅ”

―とある地下施設―
「ドクター・ウェスト。またしても一人の生身の人間に負けたって本当か〜?」
「な、なんの!我輩が本気になればあんなイエローモンキーなんぞ」
「でも負けたんだど〜負け犬〜負け犬〜」
「俺なんか今日構成員達と銀行のATMのカードの挿入口に接着剤入れて覇道財閥系の銀行を機能停止にしてきたんだぜ〜」
「貴様の小細工と比べられたくわないわ!デストロイヤー・ノウス!」
「博士は負け犬じゃないロボ。ただのキ●ガイロボ」
「エルザ〜・・・」
ブラックロッヅの本拠地にてエルザのフォローになってないフォローにぐったりする西。
「ドクター。私の施した魔法障壁がやぶられたって本当か?!」
「ふん。貴様はもっとちゃんとした魔術師だと思っていたがな。がっかりさせてくれる。マギウス・イースト。」
ブラックロッヅは東西南北の名を持つ4人が率いている。
一人は当然お馴染みのマッドサイエンティスト:ドクター・ウェスト
破壊活動という名の嫌がらせ活動を計画し実行する単細胞のジョジョラー:デストロイヤー・ノウス
財界とツテがあり活動資金調達する成金。組織を運営する中心的人物。:アップスタート・サウス
そして最近入った魔術師:マギウス・イースト
「癇に障る言い方だが私は私最善を尽くしたつもりなんだがな・・・・それほどの相手なのだな?」
「この地下基地が治安警察達に知られずに済んでいるのは、我輩の科学力と貴様の情報操作魔法のおかげだが実戦魔法の方は奴の方が貴様より数段上とみていいだろうな。」
「魔法なんかセコい真似せず男ならもっと直球にいくどー!」
ノウスが冷やかすが無視する二人
「そいつは厄介だな。詳細な情報はわかるか?」
「エルザが奴の情報はだいたい集めておるよ。エルザ。」
パチンと指を鳴らすとエルザが投射機になった。
「大十字九郎。ミスカトニック大学・隠秘学科所属。兼私立探偵。」
「身長:185cm、体重:80キロ、性格:お人好し。筋肉質でいい男(はぁと)」
「な、なんだと・・・!?大十字九郎?!」
「なんだ知っておったか。マギウス・イースト。」
イーストの顔が歪む。あの忌々しい大十字九郎なのだから。
「あとエンネアという13歳の女の子と同居しているロボ。この子が羨ましいロボ〜」
「この子はただの孤児だったようロボ」
「ふふふふふ!!アッハハハハハ!」
「エルザいかん。またイーストの病気が始まったではないか。」
普段は真面目なマギウス・イーストであるが実は重度のロ●コンでかわいい美少女を見ると笑いが止まらなくなるという性癖がある。
エンネアでも当然同じ反応が出たわけであるが・・・5分ほど経つと流石に腹筋が痛くなったのか笑いが止まり憎悪の表情になるイースト。
「ゲホゲホッ!んん・・・失礼。こ、こんなかわいい女の子と大十字九郎は同居しているのか・・・・ということは・・・」
イーストの脳内にここでは表現してはいけないピンク色の妄想が次々とよぎった。同時にますます大十字九郎が許せなくなった。
ちょうど、ある人物が入り。最高幹部達が中央の部屋集まる。
「ちょうど大十字九郎の話をしていたのか。お前達は」
「貴様か。アップスタート・サウス。」
「大十字九郎め・・・許さん!!許さん!!許さん!!!」
「落ち着けイースト。ちょうどいい情報があった。どうやらその大十字九郎がこの地下施設を探っているとの情報を掴んだ。」
怒りに我を忘れているイーストにサウスは話を続ける
「なんと。魔術と我輩の科学力で部外者にここの存在はわからないはずであるが。」
「相手も魔術師だ。先ほどの話を聞かせてもらったがイーストと同等かそれ以上の魔術師なら魔術を使えば特定されるのは時間の問題だろう。」
「スポンサーからもブラックロッヅの拠点が掴まれると憎き覇道財閥に復讐ができないからその大十字九郎を叩き潰すよう依頼が来た。」
「じゃー俺っちが部下たちを引き連れて大十字九郎をぶっ飛ばせばいいんだな〜?」
「「「おめーじゃむりだノウス」」」
「あんまりだああああ!!!」
ウェスト、イースト、サウスがハモった。破壊ロボすら倒す大十字九郎に正面からぶつかっても敗北は必至。
「まてよ。さっき大十字九郎には女の子が同居していると言ったど・・・そいつをさらって大十字九郎をおびき出し動けない所を全員で「オラオラオラオラオラー!!」すればいいんじゃないかな〜?」
「ふむ。ノウスの言うことも一理あるな。おびき出してイーストの魔術で捕らえればあればそれも可能か。」
「それはできると思う。憎き大十字九郎にも復讐できて・・・幼女を・・・幼女ハァハァ・・・ジュル・・・はッ・・・!」
ノウスの妙案に一定の理解を示しつつ、イーストの後半の台詞は聞かなかったことにする3人
「好かんな・・・・人質を取るなど・・・我輩の美学に反するのである。」
「ウェスト。貴様にはスポンサーから多額の資金がつぎ込まれた破壊ロボを製造、運用する役割がある。もしスポンサーから資金がなくなれば一番困るのは言うまでもなくお前だぞ。」
「ぐっ・・・。だが今回は貴様らの邪魔はせんが協力もせんぞ。」
資金という言葉を出されては妥協せざる負えないがウェストにはウェストの美学があるので今回は作戦には参加しない意志を示した。
「イーストは大十字九郎を捕らえる結界を。ノウスはスキをみてこの「エンネア」という少女をさらって来てくれ。くれぐれも大事にしないようにな。」
「それと・・・。ウェストは破壊ロボの更なる改良に勤しんでいくれればそれでいい。」
「ラジャー。早速行ってくるどー。キシシシ。」
「了解。大十字九郎に復讐できて・・・幼女をアハハハハ!!ゲホゲホッ」
「ふん。」
ノウスは数人の部下を引き連れて地上へ向かい。イーストは大十字九郎をおびき出すこの部屋に笑いながら結界を張り始めた。ウェストはエルザを引き連れラボへ。サウスはこのことをスポンサーへ伝えに自室へ戻った。


                     □ □ □ □ □ □ □ □ □ □                   


”猫のヒラメキ”

―大十字九郎探偵事務所前―
「仕事で疲れた旦那様を気持ちよく迎えてあげるのもお嫁さんの役目だよね〜」
あの後九郎と別れ夕飯の支度をするために大十字九郎探偵事務所に戻ってきていた。
「いたどー今は大十字九郎もいないようだしチャンスだど。お前らいくどー」
「イエッサー」
ノウスが数人の部下とともにエンネアの元へ向かった。
「お嬢ちゃん〜お兄さん達と楽しい所に行かない〜?」
「間に合ってます。不審者のおじさん。」
「なっ?!」
大きな男たちに囲まれたのにも関わらずまったく動じていない少女に戸惑うがノウス決意を固め言った。
「お嬢ちゃん。大人を怒らせちゃいけないど。これはちょっとお仕置きが必要だど。一緒に来てもらうど!野郎共連れて行くどー!」
「調子に乗ってると・・・とその前におじさん達どこの人達?」
久しぶりに暴君モードになろうかという時エンネアにあることが頭に思い浮かんだ。
「あん?ブラックロッヅだど?」
「(ピーン)じゃあ一緒に行きます。」
予想外の返事に戸惑うブラックロッヅの面々。
「お、おう。はじめからそう素直に応じればよかったど。」
こうしてエンネアはブラックロッヅにさらわれた(?)

―1時間と少し後後
「んー今日は戦果なしか・・・エンネアの極上の料理とマッサージで疲れを癒やしますかね。」
あれから午後6時まで聞き込みをしたがブラックロッヅの手がかりはなかった。
「あんなチンピラ集団なんか放っておけばいいよ」と冷やかさることすらあった。
実際ブラックロッヅの破壊活動で破壊活動と言えるのはウェストの破壊ロボぐらいで他は正直質の悪いいたずらレベルだ。
さらに破壊ロボでの被害は覇道財閥の補償があるため深刻に考えている住人はあまりいなかったりする。
「明日はあんまり使いたくなかったけど魔術による操作をするか。」
相手も魔術師がいるとなると魔術で基地の存在を隠している可能性もある。
魔術に対抗できるのは魔術だけ。とは言っても一般の目に触れるのは良くないので使いたくなかったのだがやむ終えまい。
「ただいまー。んー?」
鍵が開いていなかった。エンネアが買い物に行っているのかと思ったが事務所のドアに黒い手紙が挟まっていた。
「なんだこりゃ。・・・・?!」
エンネアの書き置きにしては妙なのものを使うなーと思って手紙を開けると・・・俺は一気に青ざめた。
そこに書かれていたのは・・・「お前の大切な家族は預かっている。街の4番公園に来い。-ブラックロッヅ-」
俺は血相を変えてその場所へ向かった。

―アーカム・シティ市街―
俺は必死に走っていた。常人ならとうに音を上げるほどの全速力でもう5分は走っただろうか。
「まさか・・・エンネアに限って・・・」
魔導書がないとはいえ、エンネアの強さは身を持って知っている。
そのエンネアがさらわれたとなると相手も相当の魔術師、例えるならかつて存在したブラックロッ「ジ」のアンチクロス級の魔術師を擁している可能性もある。そう考えると最悪の事態が脳裏に浮かぶ。
「ブラックロッヅ!大十字九郎だ!!手紙に書いてある通り来たぞ!エンネアはどこだ!!!」
4番公園に入った俺は叫んだ。
「―ッ?!」
と次の瞬間下の地面が割れた俺は地下に落とされた。

―ブラックロッヅ地下基地―
―遡ること1時間前
「イースト。サウス連れてきたど。」
「ノウス。お前にしては仕事が早いな。ご苦労」
「おおお・・・実際に見るとさらに可憐だ・・・アハハアハハハ(以下略」
「変な人達〜」
「「・・・・」」
「動じない幼女・・・ハァハァ」
エンネアはブラックロッヅの地下基地へ連れて来られた。が、まったく動じていないエンネアに戸惑う二人と相変わらずなイースト。「とりあず、お嬢ちゃん。君は立派な人質なわけだ。大十字九郎が来るまで中央の部屋で我々と一緒に待っていてもらおう。」
「いいよー。」
「「・・・」」
「素直な幼女・・・ハァハァ」
あまりに抵抗しないので拍子抜けする二人と相変わらずのイースト。

―同時刻基地内のドクター・ウェストのラボ
「博士。本当にあれでよかったロボ?」
「うーむ・・・。」
あれから渋い顔を続けている西。
やはり人質を取る。しかも年端もいかない少女をだ。これはやはり西の美学に反する。
「・・・・・」
「・・・・・」
西の無言にエルザも無言。
いくら自身の研究を続けるためとはいえ腑に落ちない。どこかモヤモヤした感じ・・・にウェストはついにある決断をした。
「エルザ・・・耳を貸するのである。」
「ロボ?」
ごにょごにょとエルザに耳打ち
「と・・・いきたいのだが」
「流石ロボ。それでこそ博士ロボー。」


                     □ □ □ □ □ □ □ □ □ □                   


”キ●ガイとロリ●ンと暴君”

―1時間後
ドシャア!!
「いっつー!」
随分落ちたが魔術によってほとんど外傷はない。
冷静になって考えれば覇道財閥に連絡をとってから来るべきだったが今はその余裕がない。
罠がある可能性があるとは十分わかっていても俺は奥へ向かった。
途中モニター画面に男が映り声が聞こえてきた。
「大十字九郎。よく来たね。君の大事な家族は今ここにいる。早く来たまえ。」
男が退くと後ろに男二人と眠っている(?)エンネアが映し出された。男の一人は見覚えがあった。
急いで基地の中心部へ向かう道の奥からエルザが出てきた。
「ダーリン。エルザが案内するロボ。」
「テメー!!ウェストもこんなくだらねえことする奴だったのかよ!!見損なったぞ!!」
当然のことながら憤る俺。ウェストもテロリストだがいつも馬鹿正直に真正面から来るやつだっただけに俺はなおさら憤りをぶつけた。
「ダーリン!!エルザの目をみて落ち着いて欲しいロボ!」
「お前の目なんか見て落ち着けるかy・・・?!」
「どう?落ち着いたロボ・・・?」
「ああ・・・。」
俺は「あること」を知った俺は一旦冷静になりエルザと一緒に早足で基地の中央へ向かった。
ギィィ!!ドン!!
中央の部屋の扉を勢い良くあけた
「来てやったぜ!!クソテロリストもどき集団!!」
「よく来たね歓迎するよ。大十字九郎と言いたいが・・・イースト!!」
「対魔術師束縛結界!!」
俺の周りに魔術師を捕らえるための結界が浮かび出る。
「ぐ!!やはり罠か!!」
「大十字九郎。残念だがこのブラックロッヅのこの基地を探る存在には消えてもらう・・・わけではないが死なない程度に痛めつけた後。ここの魔術師によってこの基地とブラックロッヅの記憶とこの家族との思い出を抹消させてもらう。」
「そしてエンネアたんは俺のもの!ハァハァ・・・・!」
「さーノウス!大十字九郎を痛めつけるんだ!!」
「了解だどー!!いくぞー野郎共ー!!」
「あいあいさー!!」
なんか雑音がスルーされた後。ノウスと言う大柄な男とチンピラ十人ぐらいが金属バット等を持って襲い掛かってくる。
魔術師としての力が無力化された場合、普通の人間と耐久力は変わらなくなるのでこれでも十分な殺傷能力がある。
・・・が。
ドコーン!!大十字九郎の周りがクトゥグアの力で爆発すると襲いかかった男達がふっ飛ばされた。
「ぎゃあああーー!!」×10余り
「残念だったな・・・タネの割れたマジックなんざ屁でもないんだよ!!」
「なっ・・・・!!」
「イタクァ!!」
銀のリボルバーの銃を全て撃ち尽くす。精密機械の如く敵を追うそれは部屋の奥の二人に向かった。
「がは・・・な、何故・・・?!」
「ぐっ・・・!!」
リーダーと思わしき人物は魔術を扱えないらしく肩と右足を射抜かれ倒れた。
もうひとりの方は魔術師だったらしく防御陣で浅い傷で済んだようだ。
「なーに簡単よ。事前に対魔術師用の結界が張られているならそれを無力化できる魔術を身に纏えばいいわけだ・・・!」
「ロボー!エルザが伝えたロボよ!」
ひょっこりと顔を出すエルザ。この結界を事前に察知できたわけはこうだ。
エルザの瞳に映されていたのはドクター・ウェストからの「中央の部屋に対魔術師用の結界が張られている」というメッセージだった。
そしてこのブラックロッヅの行為が「自身の美学に反することであること」と・・もうひとつの伝言が書いてあった。
「貴様裏切ったな・・・!ガクッ・・」
「人としての道を裏切っているお前たちに言われたくないロボ!」
リーダーと思わしき人物はショックで気を失ったようだ。
残るは一人。魔術師だ。
「まさかお前がブラックロッヅの魔術師だったとはな・・・E・・・。」
「大十字九郎またしてもお前は・・・!」
このEは俺の元同級生だ。俺が復学するまでミスカトニック大学の隠秘学科の主席だったのだが、俺の復学後あっという間にその座から降ろされ、荒んだ行動をするようになり、いつの間にか退学していた。
「お前のせいで俺は主席の座を追われ、イライラしているところを通りかかったかわいい幼女に救いを求めて抱きついたら通報され・・・ミスカトニック大学からも退学処分、親や親戚からも絶縁されたんだ・・・!・・・お前さえ・・・!お前さえ・・・!いなければ・・・!!!」
「E・・・だからって俺の大切な家族を奪おうとするのは俺は赦せねえな!!」
なんでそこで幼女に救いを求め抱きつくのかが理解し難いが、俺もマスター・オブ・ネクロロリコンの異名を持つのでそこは言葉では否定しなかった。
が、クトゥグアを向けて威圧する。
「来るな・・・!来るな・・・!!大十字九郎・・・!!!」
俺は無言で一歩ずつエンネアのいるEのところへ歩を進める。
「ぐ・・・!こうなったら・・・死ぬ前に俺の夢・・・!幼女・・・!で・・!童貞を卒業するんだー!!!同意の上でのラブラブがいいが・・・この際どうでもいい!」
「・・エンネア!!」
そう言ってEは眠っているエンネアの衣服に手をかけようとした。俺は焦って跳ぼうとした・・・その時。
「・・・誰が・・・エンネアを犯そうとしてるのかな・・・?」
「「へ・・・?!」」
俺とEが同時に間抜けな声をあげる。
「・・・九郎に初めてを捧げるのがずっとずっとずっと抱いていたエンネアの夢なの・・・オマエなんかのチンケな夢でそれを壊さてたまるか・・・!!」
大気が凍りつく・・・否震えている!!今のエンネアは少女のエンネアではない。暴君だ。
「あ・・・ああ・・・あああ・・・!!」
「さー懺悔の用意はできているかい・・・お兄ちゃん〜!」
涙目になり真っ青になりガクガクと体を震わせているE。いかん。エンネアはマジで怒っている。これは本当の悲劇になりねん!
「知っている?アメリカのある州では性犯罪者に対して去勢する刑罰があるって・・?お兄ちゃんのブドウ(隠語)を踏みつぶしてそうしてあげようかなあ〜」
「ひぃぃぃぃ!!!」
エンネアの足が倒れこんでい震えているEの股間に降ろされる。
「エンネアー!!!!ダメだー!!」
俺は懇親の思いを込めてエンネアを叫んだ!!
「あ、九郎♪」
怒りに我を忘れていたエンネアが俺の叫びに気付き足の軌道がそれた。幸いにもEは男を辞めずに済んだようだ。
だが直撃していれば間違いなく男でなくなっていただろう・・・。コンクリートの床に足型が付きヒビが入っている。
「ブクブクブク・・・・。」
Eは泡を吹いて気絶していた。
「九郎〜♪エンネアさらわれてすごいショックなの〜慰めて〜♪」
「・・・・。」
俺は安堵故エンネアの冗談の入った発言にも無言だった。
と大団円に終わりそうな所に空気の読めない奴はやってくる。
「ぬはははは!ピンチのようであるな!!大十字九郎!!この世紀の大天才!ドクター・ウェストが助太刀するので・・・ある・・・?!」
「「「・・・・・・・」」」
俺とエンネアとエルザの沈黙・・・気を失って倒れている3人の最高幹部達と構成員十人あまり・・・もう終わったことでなので当然である。
「あ、失礼しました・・・。」
「博士。空気が全然読めてないロボ・・・。」
エルザの瞳に映されていた最後の西からのメッセージは我輩も颯爽とかけつけて助太刀するとのことであった。とうに忘れていたが・・・。
俺は地上に戻ってから姫さんに連絡を取り、ほどなくして覇道財閥と治安警察合同部隊が到着。最高幹部達と構成員達は逮捕され、ブラックロッヅは壊滅した。
ただ・・マッドサイエンティストとロボ娘の二人を取り逃がしたことを除いて・・・。
後日成功報酬を届けに来た姫さんと執事さんによると、元々ブラックロッヅはただのチンピラ集団だったが圧倒的な覇道財閥の力に反発する他の財閥が資金を提供し覇道財閥に対して影でアンチ覇道財閥行為をするよう指示していたらしい。
そこに西とEが加わり、「割りと」本格的なテロ集団になったという訳だ。
それに関わった財閥はテロ行為を後押ししたとし社会的信用を失い覇道財閥に飲み込まれたのであった。
捕まった際Eは「幼女怖い幼女怖い幼女怖い幼女怖い」としか言わず、ロリ●ンからはロリ恐怖症になったそうだ。自業自得とは言え合掌。


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”猫姫の後悔”

−大十字九郎探偵事務所−
その事件の夜いろいろ聴取も受けたので日付を跨いで時計は深夜2時を過ぎていた。
が、エンネアと九郎は起きていた。当然のことながら訊かれることはただひとつ
「とりあえず・・・エンネア・・・なんでわざとさらわれたのか・・・話を聞かせてもらうぞ・・・。」
「うーんとね・・・・」
うー九郎が真剣な表情で訊いてくる・・・。ごまかしちゃだめだよね・・・と自分に言い聞かせ真意を告げることにした。
「九郎がエンネアに言えない何かがあるみたいだし・・・。エンネアが九郎を求めても・・・良く袖にするから・・・」
「うん・・。確かにそれはそうだな・・・それがわざとさらわれるのと結びつかないんだが・・」
もっともだ。そしてエンネアが求めていたことを言う。
「エンネアが・・・さらわれたら・・・九郎は助けに来てくれるのは確信してたし・・・囚われのお姫様を助けた王子様。その二人がその後することは・・・キャー言わせないで〜」
真っ赤になってごまかしてしまった。自分の求めていたこととは言え、いざ意中の人にその言葉に出すとものすごく恥ずかしい。
「で、寝たふりしてごまかしてたけどEがああいうことしてきたから本気で怒ったわけね・・。」
「うん・・・エンネアはずっと・・ずっと大好きな九郎に初めては捧げられなかったから・・・」
消え入りそうな声で答える。
「ふー・・・」
「・・・!」
九郎がため息をついて立ち上がった。ゲンコツを覚悟する。
「ごめんな・・・エンネア。」
「え・・・・」
頭に九郎の手はきた・・・だがそれは拳ではなく暖かい手のひらだった。
「お前の背負っている重い重い過去があるのにずっと袖にしてちゃ。お前も不満は溜まるよな。ごめん。俺が悪かった。」
「そんな、謝るのは・・・エンネアだよ・・・。ごめんね九郎・・・。」
「いいんだよ・・・エンネア。今回の件でお前がどれだけ俺を思ってくれてるのか改めてわかったし」
「九郎・・・・。」
そう言ってくしゃくしゃと優しく頭を撫でてくれる九郎。一体この人はどれだけお人好しなのか・・・。
「でもな・・・俺の2つ言うこと聞いてくれ。」
「うん・・・。」
大事なことのようなので心して聞く。
「俺はお前と籍を入れるまではお前を抱かない。甘えるのはもちろん構わないが、お前からもなるだけ性的なアプローチは控えてくれ。」
「うー・・・・え?!」
ちょっと納得いかず自分の表情が曇ったがそれもつかの間言葉には籍という文字が入っていたことに驚愕する。
そしてずっと素敵な言葉が投げかけられる。
「そして俺は・・・お前と少しでも早く籍を入れられるように・・・最大限・・・がんばる・・・!から・・・!お前も協力してくれないか・・・?」
その台詞を言うと九郎は真っ赤になって沈黙した。
「・・・・」
「・・・・」
しばし沈黙の空気が流れる。自分で自分のほっぺをツネッた。
痛い・・・。夢じゃない。
そうわかるともう止まらなかった。勢い良く九郎に抱きつく。
「九郎・・・!もう・・・絶対に・・・!九郎のこと疑ったりしない・・・!ずっと付いて行く・・・!」
「ああ・・!俺を信じてくれ・・・!エンネア・・・!」
力強い抱きしめ返しに九郎を疑った自分を心底後悔し、そしてこれからはもっともっと九郎を愛し、尽くそうと心に決めた冬が始まったばかりの日だった。


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